嘔吐について

嘔吐について

動物に嘔吐が認められた時

1週間を目途に、急性の嘔吐か慢性の嘔吐かを判断する事が必要です。急性・慢性の原因はそれぞれ異なり、色々な病気が考えられます。

急性嘔吐

症状が突然に発症した場合、あるいは嘔吐症状が続いていたとしても、まだ1週間以内である場合を言います。

急性嘔吐の原因として主に考えられるのは以下の通りです。

・食餌関連性によるもの…不適切な食事摂取が主に関与します

・ゴミあさり(残飯)
・人間食 ・生肉 ・急激な食餌内容の変化など

・内部寄生虫、回虫症、べん虫、鉤虫、条虫、コクシジウムetc

異物摂取

ボールやおもちゃ、串(焼き鳥など)、ビニール、ヒモ、アクセサリーなどの貴金属、梅干しや果物の種など、物理的に食道・胃・腸を刺激し、炎症や閉塞を引き起こすもの、薬物・中毒物質(人間薬、化学物質、植物)が原因になります。

・その他

胃拡張胃捻転症候群(特に大型犬種に多く見られます。食後、散歩や運動後に急に腹部が膨満し、嘔吐や空嘔吐症状が頻繁に認められる時は、特に注意が必要です。)

慢性嘔吐

症状が1週間以上継続する場合の事です。
慢性嘔吐の場合は、その原因を詳しく追及し、つきとめる事が必要です。また、全身状態が悪くなっている事も多いので、同時に状態安定化の治療も必要になります。
慢性嘔吐の原因として主に考えられるのは以下の通りです。

・代謝性疾患

肝臓病や腎臓病が症状を引き起こすことがあります。肝臓や腎臓に起こる炎症そのものが原因となる事もありますが、機能不全による体内の毒素の代謝や排泄がうまくいかないことも原因となります。

・炎症性疾患(IBD)

自己免疫が関与した胃腸炎です。一般的に長期間の下痢症状を伴うことが多いです。

・腫瘍

胃や腸に発生する腫瘍には、腺癌や平滑筋肉腫、リンパ腫などの悪性腫瘍があります。また良性腫瘍であっても、発生部位や大きさによって嘔吐症状を引き起こすことがあります。

・膵炎

特発性(原因不明)のことも多いのですが、腫瘍や外傷、感染、食餌内容(高脂肪食)が関与することもあります。

・内分泌疾患

糖尿病、副腎皮質機能低下症が関与している事があります。

・感染症(ウイルス、細菌など)

ウイルスでは・・・ ジステンパーウイルス、パルボウイルスが代表的です。特にワクチン接種をしていない動物、幼若な動物では考える必要があります。
細菌では・・・ サルモネラや大腸菌などが原因となる事があります。野鳥やネズミ、爬虫類などをハンティングする動物や、生肉を食べた場合に認められる事があります。また、これらの感染症では、下痢症状も伴うことも多いです。

異物摂取

ボールやおもちゃ、串(焼き鳥など)、ビニール、ひも、アクセサリーなどの貴金属、梅干しや果物の種など、物理的に食道・胃・腸を刺激し、炎症や閉塞を引き起こすもの、薬物・中毒物質(人間薬、化学物質、植物)が原因になります。

・食餌関連性によるもの…不適切な食事摂取が主に関係します

ゴミあさり(残飯)/人間食 /不適切な食事/内部寄生虫/回虫症/べん虫/鉤虫/コクシジウムetc…

・脳疾患

脳腫瘍、外傷、前庭疾患(平衡感覚障害)、感染、炎症などが関与します。

嘔吐に下痢の症状を伴うときは、上記以外にホルモン異常や多血症などが関与することもあります。原因を調べるために血液、レントゲン、尿、超音波、必要なら内視鏡、造影などの検査を行い、正しい診断を付け適切な治療を施さないと、脱水状態に陥り、回復不可能な状態になることもありますので、初期の段階で診察を受けることを、お勧めします。

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